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一ヶ月以上放置してごめんなさい(´・ω・)

4月分は…飛ばしということで

6月~7月分もちょっと怪しい、かも?
月一とか言ったけど駄目かもしれない><;


あと、内容は伏線なのか何なのかで、
意味が分からない部分が多いかもしれません。
分かりやすく書きたいんだけど、中々上手くいかんですねぇ。


ぁ、小説のタイトル決まりました!っと思ったけど却下しました!
いずれ決まるよ。。うんいずれ。
 前回のあらすじ。虎嶋と鉢合わせした犬飼は、対応に困っていた。というのも、虎嶋の背中には、頭から血を流している逢坂が背負われていたからだ。



「どうしたんですか?顔色があまり優れないみたいですけど」

 虎嶋は心配そうに犬飼を見つめる。とはいっても虎嶋はペットショップに来たときと同じく、ゴーグルを着けフードを被り、夏だというのに手袋という完全防備の出で立ちなので、相変わらず表情は読み取れない。

「虎嶋さんの背負ってる人は僕の知り合いなんだ、どうしてこんなことに」
「うーん、それは私にも分かりません、どこかで頭をぶつけたのかも」

 虎嶋はしれっと嘘を吐いた。逢坂が血を流して気絶している理由は、虎嶋が狸の信楽焼きで逢坂を殴打したからである。
ちなみに犯行に使われた凶器は、血をべっとりと付けたまま路地の片隅で横たわっていた。

「とりあえず、落とし主の方が探してると思うので、交番に届けますね、犬飼さんも一緒に交番まで行きますか?」
「いや、別に落とし主とかいないと思うし、そもそも人は交番に届けなくてもいいんじゃないかな」

 そう言いながら、犬飼はふと考えた。虎嶋も自分と同じく、『この国』の常識に少々疎いような気がする。彼女も恐らく、劉の言うように『あの国』から移ってきたのだろう。果たして彼女は自分のことを覚えているのだろうか。彼女はかつて自分が…

「犬飼さん」
「ん、あぁ何だい?」
「この人、交番に届けないならどうすればいいんでしょう」

 虎嶋は不思議そうに首を傾げている。どうやら本当にやるつもりだったらしい。

「僕が責任を持って送り届けるよ、住んでる場所は知ってるから」

 犬飼は、虎嶋の背後で頭を垂れる逢坂の姿を見た。逢坂は割と華奢な体つきをしているが、犬飼の体力腕力は精々人並みか、それ以下である。背負って運ぶのは中々骨が折れそうだ。

「じゃぁ、犬飼さんに返せばいいと」
「まぁそういうことだね」
「そうですか」

 虎嶋は逢坂を背中から下ろし、今度は横抱きにして、犬飼の前に差し出した。犬飼は手を伸ばし受け取ろうとすると…

「では、落とし者を拾ったお礼として、二割を頂きますね」

 虎嶋の口が大きく開き、鋭い牙が逢坂の肩口に襲い掛かる。虎嶋の牙が逢坂に達しようかという刹那、犬飼は自らの腕を虎嶋の口に押し込んだ。
 犬飼は、骨が砕ける音を聞いた。虎嶋は既に逢坂を投げ捨て、標的を犬飼に切り替えていた。虎嶋の爪は手袋を破り、犬飼の上腕と脇腹に深く食い込んでいる。犬飼は必死に振り解こうとするが、傷口を抉るだけで効果がない。虎嶋の顎と握力は、人のそれとは一線を画していた。

「こ…のッ」

 犬飼は虎嶋の腹に膝蹴りを決めた。虎嶋もこの一撃は効いたのか、犬飼から距離をとった。
 しかし、犬飼へのダメージは相当なものだ。咄嗟に出した右腕は使い物にならず、爪痕からは止め処なく血が溢れてくる。そして今まで興奮で遮断されていた痛みが、一気に込み上げてくる。意識が飛びそうになるのを、必死で堪えていた。

「あなたが誰かを助けるために自らを犠牲にするなんて、驚きました、この人はそんなに大切な人なんですか?」

 口元を真っ赤に濡らした虎嶋は問いかけたが、犬飼は答えられなかった。言葉を返す余裕がなかったからではない。自分でも何故あのような行動に出たのか、理解できなかったからだ。

「まぁ、そんなことはどうでもいいです、犬飼悠馬、あなたはここで死ぬんですから」
「やはり、僕のことを覚えていたんだね」

 犬飼はペットショップでは一度も名前を名乗っていなかったはずだ。先程から犬飼のことを苗字で呼んでいたのは、虎嶋の記憶の中に犬飼が残っていたことの証明だ。

「忘れられるはずがないです、私をこんな姿にしたんですから」

 虎嶋はパーカーのフードを後ろへ払い、ゴーグルを外した。彼女の瞳は闇の中でも金色に光り、赤褐色と黒の体毛で覆われた三角の耳は、本来人間にあるはずもない位置にあった。そして背後には耳の体毛と同色の尾。それらは彼女が真っ当な人間ではないことの証明であり、同時に犬飼の罪の証明であった。虎嶋美弥は、人間と虎を掛け合わせた合成獣である。

「私はあなたを許さない、骨も残さず喰い尽くします」

 虎嶋は指先に付着した犬飼の血を舐めた。

「許して貰おうとは思わない、だけど、僕は君を救いたい」
「あなたに出来るのは、私に身を捧げることだけです」
「それはできない、僕は君を救うために…」

 犬飼は激痛で意識を失い、地面に崩れ落ちた。もう起き上がることのできない犬飼を見て、虎嶋は呟いた。

「救うなんて、期待させるようなこと言わないで下さいよ」

 金色の眼から、一筋の涙が流れた。

「さよなら、犬飼悠馬」

 虎嶋は爪を伸ばし、拳の骨格をより凶悪な形へと変化させた。今度こそ犬飼を仕留めるつもりだ。
 しかし、虎嶋はある異変に気付いた。夜空の闇の中、一際黒く蠢く塊がこちらに近付いてくる。鴉だ。鴉の大群が、虎嶋へ向けて一直線に突っ込んでくる。黒の塊は、突然の事態に困惑する虎嶋を、あっという間に飲み込んだ。

「退いて下さい!私はあなたたちを傷付けたくないの!」

 虎嶋は爪を立てぬよう鴉を振り払うが、数が圧倒的に多く、ついに身動きが取れなくなってしまった。
 それからしばらく経って、虎嶋の周りで飛び回っていた鴉は、星空の中へ消えていった。残されたのは虎嶋唯一人。そこに犬飼と逢坂の姿はなかった。


・・・


 犬飼は身体の振動と風を感じ、目を覚ました。自分が今どのような状況に置かれているのかが理解できないが、とりあえず生きていることに安堵した。

「気付いたようだね」

 犬飼の頭上から聞き覚えのある声が聞こえてきた。犬飼の働いている、ペットショップの店長だ。

「あまり動かない方がいい、腕の怪我は特に深刻だ」
「店長、逢坂君は?逢坂君はどうしましたか」
「大丈夫、ちゃんとそこにいるよ」

 犬飼は辺りを見渡すと、相変わらず眠っている逢坂を見つけた。どうやら二人は店長に担がれて、ここまで運ばれてきたようだ。人間二人を運びながらもしっかりとした足取りで夜道をすいすい走って行く。劉が化物と呼ぶのも納得の怪力だった。

「はい到着」

 着いたのはみんなの仕事場『妖怪ビル』である。店長は軽快に階段を上がり、三階にある劉の経営する雀荘まで二人を運んだ。扉を開くと、客の帰った店内で劉が待ち構えていた。

「おう店長!世話になったな」
「お安い御用ですよ、劉さんのお蔭で、ウチの大切な従業員が命拾いしました」

 どうやら店長は、劉の頼みで逢坂と犬飼を迎えに行ったのだろう。全てを知りながら、自分では一歩も動かないのが『自称仙人』の劉だった。

「劉爺の所為で酷い目に遭ったよ」

 犬飼はぼろぼろの状態で、何とか声を絞り出した。

「こっぴどくやられてた割には元気じゃねぇか悠馬、いやー女の恨みは恐ろしいねー」

 劉は相変わらずの毒吐きであった。いつもなら犬飼も言い返すところだが、生憎コンディションは最悪、余計なことを考える余裕はなかった。

「店長、悪いけど悠馬をそこのベッドに運んでおいてくれ」
「ベッド汚れるけど大丈夫?」
「構わねぇよ」
「分かった、あと逢坂君はどうする?」
「こいつの怪我は大した事ねぇから、そこら辺に捨てとけ」

 劉は部屋の奥の方へと消えていった。店長は劉を見送ると、言われた通り二人を運んだ。逢坂を床に置くのも忍びないので、麻雀卓の近くにあった椅子を並べて、その上に横たえた。
 そこへ劉が戻ってきた。何故か右手には木工用ボンドと鋏が、左手には糸を通した裁縫用の縫い針が握られている。劉は犬飼のベッドの隣に移動して、戦慄の一言を発する。

「これより、裂傷部の縫合と、骨折を、えー、どうにかする手術を行う」
「劉爺、もしかして手に持ってるのは…」
「心配するこたぁねぇぞ、存分にいたぶ…いたわってやる」

 青い取っ手の子供用鋏の先端が、犬飼には鈍く光って見えた。

~しばらくお待ちください~

「こらてめぇ、暴れるんじゃねぇ!店長、ボディに一発ぶち込んでくれ、気絶させとけば動きが止まるから!」

~しばらくお待ちください~

「木工用じゃダメだ!瞬間接着剤持ってこい!あと釘と金槌もな!」

~しばらくお待ちください~

「劉さん、これがこっちであれはもっと下の方じゃない?」
「うるせぇな、分かってんよ、ぉ、嵌った嵌った」

~しばらくお待ちください~

 こうして、二時間にも及ぶ大手術は、無事に終了した。その三十分後に目覚めた犬飼が見たものは、大雑把に縫われた腕と、その周りでべた付く白い線だった。

「お目覚めだね悠馬君」
「無事でよかったなぁ悠馬」
「この状況は無事とは言い難いね…」

 とは言っても、きちんと傷口は塞がっているし、砕けたはずの腕は、痛みを伴うもののもう動かせる。こんなに完璧に元に戻っていると、逆に不安になってくる。一体、木工用ボンドは何に使われたのだろう。

「ま、俺にかかりゃこんな手術楽勝だぜ」
「でも劉さん、結構危なかったじゃない、まさか肋骨を…ぷっ、くくく」
「あー、ありゃちょっと…きひひひ」
「え、何?肋骨がどうしたの…?」

 その恐ろしい談笑は、犬飼の恐怖を増幅させたが、その事実は知らぬが仏である。

「それはそうと悠馬よぉ、逢坂がまだ起きねぇんだけど、どうしたもんかね」

 犬飼は逢坂の顔を覗きこんだ。劉の見立ては正しいらしく、それほど重傷ではないようだ。逢坂は規則的な寝息を立てて、安らかな表情を見せている。

「もしかしてアレかな?」
「アレって何だよ」
「まぁ待っててよ、まだ使えるかな…」

 そう言って、犬飼は逢坂の身体を弄った。その様子を、劉と店長は冷ややかな目で見ていた。

「できた」
「あぁ…うん、満足したか?」
「犬飼君、そういうのは人前ではちょっと…」
「え、さっきから何このアウェー感、僕そんな悪いことしましたか?」

 何となく二対一の様相。犬飼はあらぬ誤解を受けていた。

「僕は逢坂君を起こそうとしただけなのに」
「言い訳すんな、俺には全部お見通しだぜ」
「劉爺がそんなこと言うから、余計に誤解されるんだよ!」

 嘘発見器に近い能力を持っているが故に、犬飼の本心に拘らず、劉が白だと言えば、たとえ黒でも周りは白だと思ってしまう。完全なる能力の悪用である。

「ぁ、そんなことより逢坂さんが」

 店長の声を聞き、犬飼と劉は逢坂を見た。逢坂の瞼が震え、小さく声が漏れた。

「ほら、僕が起こしたんだよ」
「どうだかなー」

 逢坂は身体を起こすと、辺りを見渡した。犬飼と劉、そして店長が心配そうな目でこちらを見ていた。

「俺は…どうしてここに」
「虎嶋とかいう嬢ちゃんにボコられたお前を、店長が助けてくれたんだ、ちなみにそこで突っ立ってる眼鏡は、お前を助けに行ったが返り討ちにあったぜ」
「そこの爺さんは動こうともしなかったけどね」

 あまり二人の話は要領を得ないが、逢坂は自分が気絶していて、ここまで知らぬ間に運ばれていたことを理解した。

「ところで逢坂さん、頭は痛くないかい?結構血が出てたんだけど」
「頭?」

 逢坂は、自分の後頭部を擦った。逢坂は虎嶋に鈍器で殴られたので、当然後頭部には傷がある。それを直に触れば、どのようになるかは想像に難くない。

「ぐがあぁ!」
「逢坂さん、触っちゃ駄目だよ!」

 逢坂は痛みで椅子から転げ落ち、床をのた打ち回った。

「店長、多分逢坂君には言っても分からないですよ、今ので学習したとは思いますけど」
「犬飼、お前俺の頭に何かしやがったのか?」

 痛みに呻きながらも逢坂は顔を上げ、犬飼に問いかけた。逢坂はいまだかつて味わったことのない感覚を感じていた。

「逢坂君、今君が感じているもの、それが『痛み』だ」
「これが『痛み』…?頭がフットーしてるような、これがか?」
「実際には他にも『温度』とか『匂い』とか色々感じてるはずだよ、逢坂君の『人間化』がそろそろ完了する頃だからね」
「おい犬飼、『人間化』って何だ?勝手に俺の身体弄りやがって」

 『人間化』とは、犬飼が逢坂の変化を、便宜的にそう述べているに過ぎないが、およそは言葉通りの意味である。人間とは似て非なる存在である逢坂を、人間にする処置だ。逢坂に足りなかった『感覚』や『発汗』等、意図的に排除された機能を、新たに組み込む。いわば逢坂というハードにプログラムをインストールしたようなものだ。

「とまぁこんな感じだけど、気分はどうだい逢坂君?」
「正直何とも言えない、まだこの感覚ってやつに慣れないんだ」
「痛みも感じるし眠くなるし腹も減る、くだらねぇ人間何ぞに成り下がっちまって、いい気分はしねぇよな」
「いや、悪い気分じゃない、けど何て表現するんだ、この気持ち…」

 絡まって、もどかしくて、苦しくて、心地良い。

「情緒的な部分も、以前のような『処理』はされないから、複雑で繊細な感情に戸惑うだろうね」
「そうなのか…」

 逢坂の目が、涙で滲んだ。堰を切ったように零れ落ちる涙は、逢坂には止めることができなかった。

「逢坂君、今日から君は正真正銘の人間だ、人間のように笑って、泣いて、怒って、幸せに生きて欲しい」
「ま、俺からも祝ってやるよ、誕生日おめでとさん」
「詳しいことは分からないけど、逢坂さん、おめでとう」

 三人の祝福に、逢坂ははにかんで

「ありがとう」

 一言に全てを込めた。
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